2017.04.21 Friday
祖母
祖母
私に、歌うことの楽しさを教えてくれたのは、祖母でした。両親が共働きだったため、幼い私の遊び相手は祖母でした。彼女が歌っていた曲は、もちろんクラシックではなく、誰もが知っているような童謡や唱歌、そして演歌です。残念ながらもう彼女の歌声を聴くことはできなくなってしまいましたが、最近になって、「ばーちゃんの歌は、喋りよるみたいやったなー。」と、ふと思うことがありました。私が、こんな風に歌いたいと常に思いながら、なかなかできないことです。晩年、歳のせいで高い声が出にくくなった、などと言いながら歌っていましたが、私には彼女の歌は完璧に聞こえました。心がありました。彼女の歌は自由でした。
彼女は私の最初の師であり、そして、私はこれからも、祖母のように喋る歌を目指して、試行錯誤するのだと思います。
長崎県オペラ協会
木本真唯子